ダミー記事

「事実に角度を付ける」という言葉について、記者としてまじめに考えてみる

「事実に角度を付ける」…2014年を締めるに当たり、このやっかいなキーワードの問題を整理しないわけにはいかない。いちメディア企業の問題でなく、現場の記者職が皆で考えるべき問題と思えるからだ。 今年の重大ニュースとなった「吉田調書」報道問題につい…

吉田調書報道問題の本質は、「思い込み」でも「チェック不足」でもない

吉田調書報道問題を「記者の思い込み」「チェック不足」「特定新聞の体質」と狭くとらえると、ことの本質を見誤りかねません。いち科学技術記者として、同問題への検証や批判の内容に危惧を覚えたので、ちょっと短く書いてみます。 朝日デジタル版の「吉田調…

「書くこと」の倫理

藤代さんからの問題提起(ヤフー社長室長による「ステルスロビー活動」記事の問題点。自らの利益のためにメディアを使うのを戒めよ(藤代裕之) - 個人 - Yahoo!ニュース)についてつらつら考えているうちに、そもそも日本の大学では「Writing Ethics」または…

画像取り違えは「故意」なのか? 調査報告書を読んでみた

読みました。研究論文の疑義に関する調査委員会による調査結果に対する不服申立ての審査結果について | 理化学研究所 。仕事が佳境ではあるのですが、たまに違うことに頭を使わないと脳が腐ってしまうので(言い訳)。 以下、感想についてFacebookに投稿した…

STAP細胞をめぐるニコニコ生放送から考えた、科学コミュニケーションの行き着く先

3月16日のニコニコ生放送(八代嘉美+東浩紀「科学と社会のコミュニケーションを考える――STAP細胞をめぐって」実況(2014.03.16) - Togetter)が大変面白かったので、紹介もかね、STAP細胞と科学コミュニケーションについて改めて考えてみたい。前回の記…

科学記者の視点から見ても、小保方氏の「女子力」は確かにエポックだった

STAP細胞研究の小保方氏が、メディアのゴシップ取材攻勢に「研究活動に支障が出ている」と文章を出す事態に発展した件について。 この件は藤代さんの記事STAP細胞研究の小保方晴子博士が「研究活動に支障が出ている」と報道機関にお願い(藤代裕之) - 個人 - …

「女性手帳(仮)」への批判大合唱に感じる違和感の原因は何だろう

ITともエレクトニクスとも関係ない、いわゆる「女性手帳(仮)」の問題です。名称がキモい、という批判には激しく同意なのですが、「女性の生き方の問題に、国が口を出すな」という主張には、どうにも納得できないのでポストします(執筆時間:30分)。 まず…

スパコン演算性能ランキング「TOP500」のビジュアル化で見えてくること

世界のスパコン演算能力ランキング「TOP500」で、ランキングの統計情報をビジュアル化するTreemapツールをいじるのが大変面白い件。各国政府もオープンデータを標榜するなら、こうした優秀なビジュアル化ツールと連動させてほしいなあ、と切に願うところです…

ソフトウエアと宗教のアナロジー、書評:「ふしぎなキリスト教」と「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」

「ふしぎなキリスト教」と「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」読了。筆者独特の史観や解釈がそこかしこに見られるが、独自の解釈を全面に押し出した方が初学者には分かりやすい、というお手本のような本だった。「神との契約は、一種の安全保障なんで…

【書評】佐々木俊尚著「『当事者』の時代」

佐々木俊尚著「『当事者』の時代」読了。記者であれば誰しも抱える原罪を、様々な角度から考察した本、と解釈した。 東日本大震災を取材した記者の過半は、「被災した当事者とは、根本から立場が違う自分」に、ある種の罪の意識を抱えていると思う。当事者の…

首都直下型地震へのIT機器の備え

備忘録としてツイートした、独断と偏見と東北で聞いた話に基づく「首都直下型地震へのIT機器の備え」が思いのほか好評だったので、加筆修正してまとめました。ご参考になれば幸いです。 - 東日本大震災が発生した2011年3月11日、首都圏は電気も水道もガスも…

不確定性原理が覆ったワケではない、という話

不確定性原理の件で、各紙が「量子力学の基本原理を覆す成果」と書いているのに違和感を感じたので、書き留めておきます。ハイゼンベルクの不確定性原理を破った! 小澤の不等式を実験実証 | 日経サイエンス 今回の成果は、ハイゼンベルクの不確定性原理を「…

【政治】「一票を持つ君たちへ」

1月9日に掲載された朝日新聞の社説「成人の日に―尾崎豊を知っているか」をきっかけに、ブログやTwitterで若者論が沸騰している。http://www.asahi.com/paper/editorial20120109.html#Edit2 そんな中で、若者へのメッセージとして一番しっくり来たのが、比較…

【電子産業】ソニーらしさとは「横断すること」

常見陽平氏のエントリhttp://blogos.com/article/28582/を呼んで、そういえば「ソニーらしさ」って何だろうな、と改めて考えてしまった。 ソニーの技術者の開発履歴をひもとくと、興味関心に従ってポンポンと分野を変えていることが分かり、興味深い。私が思…

【書評】「一般意志2.0」が目指すシステムの実現可能性

Twitterの登場で「備忘録」がブログからマイクロブログに移って以来、ブログの執筆はご無沙汰してましたが、年末年始で時間があるし、書評を書くにはTwitterの余白は狭すぎる、ということで。 東浩紀著「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」読了。民…

なぜAppleはiPhone 4のアンテナ感度問題を見過ごしたのか

集団訴訟を起こされるなど巷を騒がせていたiPhone 4のアンテナ感度問題、全ユーザーに筐体カバーを配るというアップルらしい方法で、一応の収束をみそうな気配。 Jobsさんは設計ミスを否定しているが、Tech-On!の気合の調査レポートiPhone 4のアンテナ問題,…

電子書籍のデータファイル統一に意味はあるのか

またずいぶんと筋悪な話だなあ。 総務、文部科学、経済産業の3省、電子書籍データファイル形式統一へ 世界的にはGoogleやソニー、アップル、Adobeが推す「ePub」がデファクト規格で固まっており、ePub日本語仕様も策定が進んでいる。極東の地で何が起きてい…

 なぜソニーは凸版印刷、KDDI、朝日新聞と組んだのか

私にとって電子書籍は、仕事上はカバー範囲外ながら、1人の物書きとしては大変興味ある分野である。そこで、公開情報をもとに「なぜソニーは日本市場で4社連合を組んだのか」について、現時点での仮説を備忘録として書き留めておこうかと思う。 今回の4社…

【書評】自分をデフレ化しない方法

勝間和代氏の「自分をデフレ化しない方法」を読んで戦慄した。 彼女が本書で主張する景気回復策は、デフレの解消を最優先とし、政府が30兆円の国債を新たに発行し、日本銀行が直接引き受ける案だ。この30兆円は子育てや福祉などの公共投資にあてる。 金融政…

【書評】M&A国富論−−ちょっと無理がないか?

民主党が「公開会社法」なる法律を検討しています。ウェブ上でも 池田信夫 blog : 「公開会社法」が日本を滅ぼす 公開会社法なる法律を作ろうとしている奴がいるらしいが | 堀江貴文オフィシャルブログ「六本木で働いていた元社長のアメブロ」 など議論が沸…

【経済】「理系にリフレ論者はいない」仮説

理系の人でリフレを唱える論者ってほとんどいないんじゃないかなあ、と仮説を立ててみる。 先に言うと私は、消費者に無理やりマネーを押し込むリフレ策(例:政府紙幣発行とか無利子国債発行とかで国民にお金を直接給付)には断固反対の立場。制御不能のハイ…

【書評】ロシア・ショック

経営コンサルタントの大前研一氏によるロシア解説書。この中で、読んでいて感銘とともに自身恥じ入ったのが、エストニアに関する記述だった。私も取材でエストニアを訪れたことがあるが、国を見る視線の深さにこうも違いがあるのか。 エストニアは、欧州の工…

【電子産業】中国は本当にソースコードの開示を求めているのか

ちょっと各社の報道内容に差がありすぎるので、備忘録としてメモする。 http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20090424-OYT8T00378.htm 私が知る限りにおいて、「中国がソースコードの開示を求めている」「デジタル家電も対象に含まれる」と断言したのは読売新…

【電子産業】NECエレとルネサスが経営統合、パナソニックはどう動く

今回は、日経に続き各紙が追いかけたので、ほぼ間違いなさそうだ。NECエレとルネサスが来春をメドに経営統合するとのこと。半導体業界ではインテル、サムソンに続く第3位の巨大企業が誕生する。 プロセスに互換性がない二社の統合が何をもたらすのか。東…

【電子産業】東芝とNECのシステムLSI部門が統合、の報道

毎日新聞が、東芝とNECのシステムLSI部門が統合で基本合意、の一報を流した。 ネットで確認する限り、今のところ他のマスコミは追従していないので真偽は不明。とはいえ、東芝の西田元社長のこれまでの発言から、ほぼ規定路線である話には違いない。 これで…

【コンテンツ】テレビを舞台にヤフー(+GyaO)とツタヤの一騎打ちが始まる

「GyaOは広告だけで成り立つ商売ではなかった。私自身も商品の特性を理解していなかった」。 USENの宇野社長のこの発言をきき、日本における動画ビジネスの壮大な実験が終わったことを実感した。 ネットがメディア企業にもたらした最大の惨禍は「広告による…

【電子産業】「島耕作」の予言が的中

漫画「島耕作」の予言どおりの再編劇,といったところだろうか。初芝と五洋,いや違った,パナソニックと三洋電機が一つの会社になりそうだ。 今回の買収に関する報道の論調はほとんど一貫している。パナソニックにとっての利害得失は,以下の点で相半ばする…

【科学報道】祝!ノーベル物理学賞,と素直に喜べない理由

ノーベル物理学賞に南部陽一郎氏,小林誠氏,益川敏英氏の3人を選出された。南部陽一郎氏は「自発的対称性の破れ」,小林氏と益川氏は「CP(charge and parity)対称性の破れ」の理論に対するもの。物理学を志したものとして,これに勝る喜びはない。2008年…

【ガジェット】米国版iPhone 2.0で,もう手放せないアプリ

これまで「iPhoneソフトウエア2.0」関連で米国ソフトウエア企業を取材してまわっていたが,それもようやく終わり,改めて手元のiPhone 2G(ファーム更新済)でアプリをいじっている。 使っていて最も感動したのが「Pandora」である。好きなアーティストの名…