科学記者の視点から見ても、小保方氏の「女子力」は確かにエポックだった

 STAP細胞研究の小保方氏が、メディアのゴシップ取材攻勢に「研究活動に支障が出ている」と文章を出す事態に発展した件について。


 この件は藤代さんの記事STAP細胞研究の小保方晴子博士が「研究活動に支障が出ている」と報道機関にお願い(藤代裕之) - 個人 - Yahoo!ニュースに全面同意で、ほとんど付け足すことはない。ただ、社会部やワイドショーメディアのおっさん目線には辟易する一方、科学記者の視点から見ても、小保方氏のいわゆる「女子力」に溢れたサイト、机、服装は確かに大きなエポックだったかもとは思ったので、短くまとめてみる。


 一般に、理系女子は研究室では少数派である。このため、同室の男性大学生・院生にとっては数少ない恋愛対象になってしまい、結果として研究室内の人間関係をギスギスさせてしまうこともある。なので、女性研究者は研究室内であえて女性性を封印する、つまり地味な服装をしたり頭をぼさぼさにしてるのだよ・・・と、先輩女性研究者に聞いたことがある。恋愛うんぬんはともかく、あの男性社会で「女子力」を全開にすると、コミュニティで浮いてしまうのは確かだ。


 まあ研究に打ち込むならそれもありかと思いつつ、一部の女性研究者は自分のアイデンティティを抑圧されている、と感じているかもしれない。2010年に始まった「リケジョ」ブームは、女子中高生に向けて大学の理系学部が仕掛けた広報キャンペーンであるとともに、こうした抑圧からの解放を促す運動という側面もあったろう。小保方氏があえて「女子力」を解放してみせていたとすれば、その意図はなんだったのだろうか。記事で「女子力」を取り上げるなら、そうした分析記事を読みたかった。


 でも、研究室に平気で女性キャラのフィギュアとか持ちこむ男子学生はもっとどうかと思うがな! 日本の人工知能ヒューマノイド開発への男性研究者の目線が初音ミクや美少女に向かった結果、「<都合のいい女>を競って開発するような環境に女性研究者として馴染めない」との声が出ている(人工知能学会の表紙は女性蔑視? - Togetter)のはもっと注目されていいと思う。


<追記>はてブTwitterなどの「生物系は女性多い」という指摘は仰る通りです。生物系なら女性割合は学生で約3割、研究者で約2割、さらに分野によって大きく変わるところで、ここは私の文章が舌足らずでした。実際に小保方氏のこれまでの研究環境がどうだったか、については報道では分からなかったところで、小保方氏は元々自然体で「女子力」が高かった、という可能性ももちろんあります。