【コンテンツ】テレビを舞台にヤフー(+GyaO)とツタヤの一騎打ちが始まる

 「GyaOは広告だけで成り立つ商売ではなかった。私自身も商品の特性を理解していなかった」。
 USENの宇野社長のこの発言をきき、日本における動画ビジネスの壮大な実験が終わったことを実感した。


 ネットがメディア企業にもたらした最大の惨禍は「広告によるアテンション単価(広告価格/(回数×人)の減少」だった。GyaOが描いたネット動画配信モデルは、YouTubeニコニコ動画ではなく、ネットそのものに潰された、といえなくもない。


 ただ、日本ではまだ遣り残した実験がある。パソコンではなく、テレビやレコーダーなどデジタル家電向けのGyaOサービスの展開だ。ヤフーの「坂東チーム」が開発中のネット対応テレビ向け動画配信は、GyaOの加入で間違いなく加速するだろう。


 ヤフーが計画中のテレビ向け動画サービスのキモは、放送の「ながら見」とVODの「選択視聴」を組み合わせる発想だ。ユーザーはコンテンツのダイジェストを「ながら見」しながら、見たいコンテンツを選択してじっくり視聴できる。


 このユーザー体験は、PTPの全チャンネル録画機「SPIDER」に近いものがある。動画視聴のユーザー体験の究極といえる「ネットの向こう側にある全チャンネル録画機」の原型モデルになりえる、といって差し支えない。
 

 今後のテレビ/レコーダー向け動画配信サービスとして、今やツタヤが主導しているといっていい「アクトビラ」と、ヤフーが主導する(恐らくは無料主体の)動画サービスが並存することになるだろう。ツタヤとヤフーの一騎打ちが見られる次世代テレビ/レコーダーなら、購入してもいいかなー、と思わなくは無い今日この頃である。