首都直下型地震へのIT機器の備え

 備忘録としてツイートした、独断と偏見と東北で聞いた話に基づく「首都直下型地震へのIT機器の備え」が思いのほか好評だったので、加筆修正してまとめました。ご参考になれば幸いです。

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 東日本大震災が発生した2011年3月11日、首都圏は電気も水道もガスも使えた。だが、仮にM8.0クラスの直下型地震が起きたとすれば、これらライフラインへの被害は免れない。最低3日間、電気を含むライフラインが停止することを想定した備えを持った方がいい。


停電した場合に使えない機器:
・テレビ
・電話(ひかり電話やFAX付電話)
・家庭内インターネット


使える可能性がある機器:
・携帯電話
・ラジオ
ワンセグ
・電話(単機能のもの)


安否確認をスムーズに行い、情報過疎にならないため、これらの使える機器をいかに「3日間生き残らせるか」が焦点になる。


○初動、安否確認
・携帯電話は停電後4〜5時間ほどで(基地局のバッテリー切れのため)圏外になる可能性がある。それまでに、安否確認や情報収集を済ませる。


・圏外にならなくても、生き残った基地局が遠方の場合、待ち受け状態でも電池が早く消耗してしまうので注意。アンテナが一本、または圏外の場合、安否確認や情報収集にメドを付けた後に電源を切ってしまうのも手である。


・安否確認は、GmailHotmailといったWebメールで行うのが最も確実。海外にサーバーがあるので、例え国内のデータセンターが被災していても、問題なく使える可能性が高い。


・ケータイメールは確実に遅延するので、アテにはしないこと。FacebookTwitterなどのSNSも、家族の安否確認向けにはアテにできないと思った方がいい。だってSNSで家族をフォローしている人少ないでしょ?


・音声通話にはほぼ確実に通信規制がかかる。規制95%なら、政府・警察・消防・インフラ企業・マスコミに割り当てられる優先電話が回線を占有するため、民間人が通話できる可能性はゼロに近い。どうしても音声通話を使いたいなら、優先電話扱いとなる公衆電話(災害時は無料)を使う。


・公衆電話は国内電話のみならず、国際電話も無料になる。海外の家族に安否を伝える際には重宝する。だがこれに乗じて、意味もなく無料で国際電話をかけまくった無法者もいたらしい。費用はすべて通信事業者の負担。よい子は真似しないように!


・音声系ならSkype、LINE、050plusといったVoIPアプリが使える可能性はあるが、これも家族といつも使っていることが前提。「普段から使っている通信ツールでないと、災害時に大きな力を発揮できない」という原則を心に刻もう。


・災害伝言ダイヤル「171」やWeb171、災害対策伝言板は、上記の手段を試した後に使ってみるとよいが、実際に家族が使っているか分からないので、念のための手段と割り切る。ちなみに171は、震災当初はケータイから使えないことがあるので注意(固定電話からの利用を優先するため)。どうしても試したいなら公衆電話からかけられるが、そのために長蛇の列に並ぶのもどうかなー、と思う。避難所に落ち着き、緊急優先電話が設置された後でも十分間に合う。



○充電の手段
・一般に、手元のIT機器で最も蓄電量が多いのはノートパソコン。これを携帯機器の充電用にのみ使う(充電中は画面の輝度を下げ、無線LANをオフにして節電)。乾電池を使った充電アダプタも重宝する。自家用車があればシガーソケットも活用できる。


・家にあるラジオ端末や旧型の携帯電話は、常に充電80%ほどにしておくと良い。100%や0%だと電池の劣化が進む。


・もし電池が切れたら、最寄りのNTT局舎や役所にいけば何とかなる可能性がある。いずれも非常用発電機を備えているため。屋外の作業用コンセントを借りて充電させてもらえる、かもしれない。あくまで非常手段なので、施設の人に迷惑をかけないように。



○職場から家への移動時

・IT以前の大原則として、夜の移動は危険。一部の幹線道路を除き、停電で街灯が付いておらず、一寸先も見えなくなる。東日本大震災の際に、都内では深夜にも歩く人が絶えなかったわけだが、これはあくまで「停電しておらず、トイレも使えた」という好条件があったから。


・移動時は、インターネットのほかラジオ、ワンセグで情報を調べる。特に、帰宅途上に火災、津波による浸水、橋の損壊などの被害がないかをチェック。携帯電話にラジオ機能がないなら、代わりにFM機能を持ったBluetooth受信機を携帯すると便利。災害時は無線帯域が制限されるため、Radikoは使えないと思った方が良い。


・家に使い古しのワンセグ携帯電話があれば、常に携帯しておくという手もある。ただし、SIMカードが入ってないと起動できないこともある。(この仕様を作った人は、災害対策の観点から猛省すべき!)

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今後も、技術やサービスの進化に合わせて適宜修正します。追加すべき事項あれば是非コメントお願いします。