【電子産業】「島耕作」の予言が的中

 漫画「島耕作」の予言どおりの再編劇,といったところだろうか。初芝と五洋,いや違った,パナソニック三洋電機が一つの会社になりそうだ。


 今回の買収に関する報道の論調はほとんど一貫している。パナソニックにとっての利害得失は,以下の点で相半ばする,というものだ。


メリット:将来有望な2次電池太陽電池の事業を入手できる

デメリット:重複の事業が足かせになる危険がある


 こんな論点ばかりで食傷的なので,ちょっとそれは一面的だろ,と文句をつけてみたい。


 まず,メリットについて。2次電池はともかく,太陽電池産業は今や,FPDパネル,半導体と並ぶ典型的な装置産業である。適切なタイミングでかつ大量の投資を行うことが,事業の死命を制する。欧州における「フィード・イン・タリフ(電力買い取り)」という名のバブルはいつか崩壊する(電力価格が際限なく上がるのを,政治家が許すはずがない)だろうから,投資のタイミングを間違えば事業は突然死を迎えかねない。


 恐ろしいのは,パナソニックがFPDパネル,太陽電池半導体という3つの高リスクな装置産業を抱えることになったこと。投資が分散してどれも中途半端な事業規模になれば,往年のDRAMと同じく,サイクル下降の局面で大赤字→撤退というパターンを踏むことになりかねない。


 次にデメリットについて。確かに重複の事業は多いけど,なら優秀な余剰人材を海外展開にまわす絶好の機会じゃないか。両社とも”重複事業”とはいいながら,海外売上比率はそれほど大きくない。「海外で成功するか,さもなくば余剰人員として解雇されるか」という状況に追い込まれることで,BRICsネクスト11といった新興国への進出の道がはじめて開けるのではなかろうか。