【電子産業】NECエレとルネサスが経営統合、パナソニックはどう動く

 今回は、日経に続き各紙が追いかけたので、ほぼ間違いなさそうだ。NECエレとルネサスが来春をメドに経営統合するとのこと。半導体業界ではインテル、サムソンに続く第3位の巨大企業が誕生する。


 プロセスに互換性がない二社の統合が何をもたらすのか。東芝NECエレクトロニクスであればこの点は気にする必要はなかった。(参考:【IEDM】「Late News」にIntelや東芝・NECエレ連合の32nmが登場 | 日経 xTECH(クロステック)。)ルネサスとNECエレのプロセス技術の差は、少なくとも東芝よりかなり大きいだろう。経済合理性のみを考慮すれば、東芝とNECエレが参加しているIBM社の共同プロセス開発アライアンス(参考:IBM社とNECエレが次世代半導体プロセスを共同開発,共通プラットフォームを構築へ | 日経 xTECH(クロステック))に、ルネサスの技術を統合させるのが妥当な方向と思われる。


 とすると。これまでプロセス技術でルネサスと提携していたパナソニック半導体戦略は、大きな見直しを迫られる。


 これまでパナ・ルネサス連合は、他社に先駆けて45nmプロセスのシステムLSI(UniPhier)を実現するなど、着実に成果を挙げている。しかも45nmプロセスのUniPhierは、BDレコーダーやテレビなど各種デジタル家電のコスト/性能優位の源泉になっていた。技術革新がストレートにマーケティング上の優位に結びついた、(業界では珍しい)好例といえる。


 IBM連合に入れば、研究開発費の負担は減るものの、プロセスの優位を生かして「機器の性能で他社より半年優位に立つ」という同社の半導体戦略の実行が難しくなる。ファブライト化も含めた戦略の再検討が必要になりそうだ。