【電子産業】Google vs Adobe,ケータイ・Webプラットフォーム競争

Adobe社は本気だ――

そう感じさせてくれたのが以下のインタビューである。

無償になる組み込み向けFlash,ARM9でパソコンと同じコンテンツを再生 | 日経 xTECH(クロステック)


 将来,パソコンから携帯機器まで使える共通Webアプリケーションのプラットフォームとして,二つの勢力が激突する。一つは,W3Cが標準化を進める「HTML5」と,Adobe社の「Flash AIR」である。HTML5を推し進めるがGoogle社なので,事実上この争いはGoogle vs Adobeといって差し支えない。


 Google社のスタンスは明確だ。「1社が提供するリッチ・インターネット・クライアント(RIA)は使いたくない」。あくまでWeb標準にこだわり,Flash AIRとか(Microsoftの)Silverlightからは距離を置く。W3Cが勧告したHTML5が今後,あらゆるブラウザに適用されるとすれば,コレにさえ対応すれば,PCからケータイまで全ての端末で使える。AndroidからiPhoneまで,あらゆる端末で確実に動くRIAになるわけだ。(HTML5は厳密にはRIAじゃないけど)


 ただ一つ,それも致命傷になりえる弱点があるとすれば,勧告時期。2010年って,遅すぎやしませんかそれ。それまでに他のRIAがデファクト標準を勝ち取ってしまうかもしれない。


 で,Flashを擁するAdobeは,これまた極めて正しい戦略を持ってきた。一つは,機器向けFlashのライセンスを無料化したこと。これまでは1台5ドルくらいはライセンスを要求していたはずで,これが原因でFlashの実装を見送った機器も多かったはずだ。「あらゆるプラットフォームの端末で動く」のがWebアプリケーションの魅力とすれば,ライセンス無料化は避けて通れなかった。


 もう一つは,Flash AIRはパソコンと携帯機器で完全互換とする,という話。これまでパソコンと携帯機器でWebの非互換性にさんざ悩まされた私としては「本当かよ!」と突っ込みたくはなる。Flash Liteもその点は期待はずれだったし。


 パソコンと携帯機器で互換性があるプラットフォームが作れるかは,Adobe社が「本当に本気か」による。つまり,携帯機器の性能の制限に引っ張られる形で,パソコン向けの機能を一部絞る必要もあるわけで。その割りきりができるほどにAdobe社が本気なのか。お手並み,拝見させていただきます。