【メディア】「あらたにす」,毎日新聞が入っていないのは残念

 新聞記事比較ポータル,Anyこと「あらたにす」がスタートした。元々「1月中にサイトをオープン」とアナウンスしていたから,期限にギリギリ間に合ったことになる。


 ただこの新聞ポータル,私としては毎日新聞が入っていないことが残念でならない。5大紙の中では,毎日新聞の社説はクオリティが図抜けて高いからだ。


 朝日,読売,日経の社説は,読む前からだいたい主張を予測できる。無理を承知で,この3社の社説を一言で表すなら


日経:ハイエク
読売:体制
朝日:感想文


 日経は基本的に,政府の市場への関与を最小限にする,いわゆる「小泉-竹中」路線のような政策を支持する。読売は,自民党の政策にほぼ寄り添う論調。


 そして朝日は…新聞に掲載済みの事実をつぎはぎして提示し,最後に「慎重に議論すべき」ないし「許されてはならない」といった感想文で締める。つまり,読者にとって新しい情報がない。もちろん,ときとして人を唸らせる社説も登場する(特に科学関連)。だが傾向として,「論説委員は,現場の記者から何も話を聞かず,自社の新聞に載った記事を読んだだけで執筆したんじゃね?」と思わせる社説が多すぎる。読者は感想文なんて求めていない。


 毎日新聞の社説が優れているのは,採り上げた問題に対して「解決策」を提示していること。例えば社会問題なら,理想的な社会の姿と,それを阻む現実のしがらみをきちんと提示した上で,ある程度の妥協を織り交ぜながら「では,こうしたらどうか?」と解決策を提示する。社説の文章には,理想と現実の狭間で論説委員が苦しみながら結論を出した跡が見え,好感が持てる。


 「あらたにす」の運営を通じて,日経,朝日,読売の社説の質が毎日新聞並みに向上するのを期待してやまない。


【追記】
中国産ギョーザ問題で,各社の社説が出揃ったのでリンク。あらたにすの3社は,毎日新聞の社説を見習い,猛省してほしい。科学的に実効性にとぼしい品質検査を採り上げて「検査体制を強化せよ!」と叫ぶだけという報道の弊害は,BSE問題で身に染みたはずだが…

朝日新聞
日経新聞
読売新聞
毎日新聞