【ベンチャー】夏野さん+ぴあ+ニコニコ動画=

 元・NTTドコモの夏野氏が,ドワンゴの常任顧問になった。赤字続きの「ニコニコ動画」の黒字化を担当するという。


 面白いのは夏野氏が,それ以前の6月にチケット・サービス「ぴあ」の取締役にも就任していることだ。それも,監視役としての社外取締役ではなく,フルタイムの取締役である(ぴあ株式会社)。夏野氏は今や数多く企業の取締役に就任しているが,社外でない取締役は,確認したところ「ぴあ」が唯一のようである(wikipediaには夏野氏について「ぴあの社外取締役」と書いているが,恐らく間違い)。


 片や,チケット買い切りのビジネス・モデルで日本のコンテンツ産業を支える「ぴあ」と,コンテンツ産業の破壊屋と言われながら,新しいコンテンツ文化の発信地になるポテンシャルを秘めた「ニコニコ動画」。夏野氏が,この二つの組み合わせて何かやるんじゃないのか,何をやるのか,と俄然興味がわいてくる。


 私が予測するに,まず手始めとして夏野氏は,ニコニコ動画上で,映画チケットをリアルタイムプライス方式で販売するつもりじゃなかろうか。具体的には,あらかじめプレミアム会員の住む地域を(郵便番号の入力などで)把握しておき,近隣の映画館で大幅な空席があれば「1時間後に上映される映画のチケット,500円の大特価で売りますよ」と宣伝を仕掛けるのである。


 もともとニコニコ動画のプレミアム会員は,良いコンテンツを良い視聴環境で見れるなら対価の支払いを厭わない,きわめて優良なユーザーの集まりである。顧客としては申し分ない。


 ぴあとニコ動の組み合わせに限らず,無料の旧作コンテンツをきっかけに有料の新作コンテンツが売れる,というサイクルが回ってこそ,日本のコンテンツ業界は活性化すると思う。